鼻と口、マインドフルネス瞑想に最適な呼吸法はどちら?その答えと使い分けのポイントをこの記事で解説します。正しい呼吸が、集中力とリラックスを高めるカギです。
マインドフルネス瞑想に取り組むとき、「呼吸を意識しましょう」と言われても、実際には「鼻で吸うべき?口で吐くのはアリ?」と迷う方が少なくありません。呼吸は無意識に行われているためこそ、意識的に見直すことがマインドフルネスの質を大きく左右します。
この記事では、鼻呼吸と口呼吸の違いやそれぞれの役割、初心者にも取り組みやすい呼吸法のコツをわかりやすく解説します。自律神経を整え、雑念を手放し、より深い瞑想状態に導くために、最適な呼吸の在り方を一緒に見つけていきましょう。
マインドフルネスに最適な呼吸は鼻?口?
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鼻呼吸と口呼吸の違いを正しく知る
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なぜ鼻呼吸がマインドフルネスに向いているのか
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鼻呼吸が「意識と無意識」をつなぐ理由
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姿勢を整えると呼吸が深まる
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自然な呼吸に気づくためのポイント
鼻呼吸と口呼吸の違いを正しく知る
呼吸には大きく分けて「鼻呼吸」と「口呼吸」があります。鼻呼吸は鼻毛や粘膜を通すことで空気中の異物を除去し、加湿・加温された空気を肺に届けるため、体にとって自然で負担の少ない方法です。一方、口呼吸は即座に空気を取り入れられる反面、乾燥や異物の侵入、免疫機能の低下につながるリスクがあります。マインドフルネスを行う上では、身体と心にやさしい鼻呼吸が推奨されます。
なぜ鼻呼吸がマインドフルネスに向いているのか
鼻呼吸は無意識的にも意識的にも行える、数少ない生理機能です。心臓や消化のように完全に無意識ではなく、自分でコントロールすることも可能です。この特性により、鼻呼吸は「意識」と「無意識」をつなぐ架け橋の役割を果たし、マインドフルネス瞑想における集中力と気づきの強化に効果的とされています。自然なリズムで鼻から呼吸することで、心の波を穏やかに整えることができます。
鼻呼吸が「意識と無意識」をつなぐ理由
呼吸は通常、無意識に行われていますが、意識すればすぐに自分でコントロールできます。この「両立する性質」は他の身体機能にはあまり見られない特徴です。呼吸に意識を向けることで、無意識領域にもアプローチができるため、思考のクセや感情の乱れに気づきやすくなります。これにより、マインドフルネスの質が大きく高まります。
姿勢を整えると呼吸が深まる
マインドフルネス瞑想では、姿勢が重要なポイントです。姿勢は、リラックスと緊張のバランスがとれた状態を目指します。椅子に浅く腰かけ、足は肩幅に開き、背筋を伸ばし、手は太ももの上に自然に置きます。目は閉じるか薄目で前方1メートルをぼんやり見る程度に保ちます。姿勢が整うことで呼吸も深くなり、集中力が高まりやすくなります。
自然な呼吸に気づくためのポイント
呼吸法として意識すべきは「あるがままの呼吸」に気づくことです。「息を深くしよう」「ゆっくり吸わなければ」などの操作的な行動は不要です。大切なのは、自分の呼吸が今どのように行われているかに気づくことです。鼻腔を通る空気の温度や胸やお腹の膨らみ、呼吸音など、ひとつの感覚に集中することがポイントです。
実際の呼吸法を音声でガイドしてほしい方は、こちらの動画が参考になります:
▶︎【誘導瞑想】3分|簡単なマインドフルネス呼吸法のやり方を実践(YouTube)
鼻呼吸を深めるマインドフルネス呼吸法とは?
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鼻呼吸で行う基本の瞑想ステップ
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雑念が浮かんだときの対処法
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呼吸を数える「数息観」の活用法
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ハミング呼吸でリラックス状態をつくる
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片鼻呼吸で脳と自律神経を整える
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ブランコ呼吸で緊張をほぐす方法
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鼻と口を使い分ける呼吸法のコツ
鼻呼吸で行う基本の瞑想ステップ
まずは姿勢を整え、落ち着いた場所に座ります。鼻からゆっくりと自然に息を吸い、吐き出します。息を吸う際には、空気が鼻腔を通る感覚や温度の変化を意識します。吐く際には、呼気の長さや空気の移動、体のどこが緩むのかを観察します。何か一つに意識を向け、それが途切れても責めずに呼吸に戻ることを繰り返します。
雑念が浮かんだときの対処法
瞑想中に思考が浮かぶのは自然なことです。呼吸に集中していても、途中で仕事や日常の不安などが浮かぶ場合があります。そんなときは、「いま呼吸から離れていたな」と気づき、再び呼吸へ意識を戻します。この「気づき→戻す」のプロセスこそがマインドフルネス瞑想の本質であり、心を整えるトレーニングになります。
呼吸を数える「数息観」の活用法
集中が難しいときには、「腹式呼吸」や「数息観(呼吸を数える瞑想)」といった手法が有効です。腹式呼吸では、鼻から吸ってお腹を膨らませ、口からゆっくりと吐くことで副交感神経が優位になります。数息観は「1、2、3…」と息を数えることで雑念を遮断しやすくなります。どちらも鼻呼吸をベースに行うことで、より深い効果が得られます。
ハミング呼吸でリラックス状態をつくる
ハミング呼吸とは、鼻から息を吸い、吐くときに「んー」と鼻にかけてハミングする方法です。この振動が頭部に響き、感覚を意識に向けやすくしてくれます。集中力を高める効果や、感情の高ぶりを抑える作用があり、瞑想前の準備として非常に適しています。静かな場所で5回ほど繰り返すだけでも心が落ち着いていきます。
片鼻呼吸で脳と自律神経を整える
片鼻呼吸は、左右交互に鼻を塞ぎながら行う呼吸法です。右鼻は交感神経、左鼻は副交感神経と関わっており、バランスよく呼吸することで自律神経が整います。右→左、左→右の順に吸って吐くことで、脳と神経系の活動が安定し、心身の緊張が緩和されます。マインドフルネス瞑想の前に行うと、より深い集中が得られます。
ブランコ呼吸で緊張をほぐす方法
ブランコ呼吸は、呼吸のリズムに合わせて「ブランコに乗っているイメージ」を思い描く呼吸法です。吸う息で前へ、吐く息で後ろへと揺れるイメージを繰り返すことで、穏やかでリズミカルな呼吸が身につきます。これにより、感情の揺れや緊張が和らぎ、安心感とともにマインドフルな状態を得やすくなります。
鼻と口を使い分ける呼吸法のコツ
基本的には鼻呼吸が推奨されますが、場合によっては口呼吸を組み合わせることもあります。たとえば、吸うときは鼻から、吐くときは口からという方法は、より深くリラックスするのに役立ちます。また、口から息を吐くと副交感神経がより働きやすくなるため、強いストレスを感じているときの導入として活用できます。大切なのは、自分の状態に合わせて柔軟に使い分けることです。
マインドフルネス呼吸法の理解と実践をまとめる
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鼻呼吸は異物除去・湿度調整ができる自然な呼吸法である
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口呼吸は乾燥・感染リスクがあり基本的に避けるべきである
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鼻呼吸は無意識と意識をつなぐ架け橋となる機能を持つ
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瞑想では背筋を伸ばし、安定した姿勢が呼吸を深める
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呼吸に評価やコントロールを加えず「気づく」ことが大切である
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鼻呼吸に意識を向けることで雑念を観察しやすくなる
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呼吸がそれたら、やさしく気づいて戻す練習を繰り返す
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数息観は初心者でも呼吸に集中しやすい有効な方法である
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腹式呼吸は副交感神経を優位にし、心身を整える
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ハミング呼吸は振動を感じることで注意を呼吸に戻しやすくする
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片鼻呼吸は交感・副交感神経のバランスを整える
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ブランコ呼吸は視覚イメージを使い呼吸を穏やかにする
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鼻で吸い口で吐くとリラックス効果が高まりやすい
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状況や目的によって鼻と口の使い分けが可能である
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自分の状態に合った呼吸法を選ぶことがマインドフルネスの質を高める
参考出典
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Telles Sら(1994)「片鼻呼吸が自律神経機能に与える影響」
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坂木佳壽美(2001)「腹式呼吸が自律神経機能に与える影響」体力科学 50(1)
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Kabat-Zinn, J. (1994) “Wherever You Go, There You Are”